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四万十川ウルトラ体験記
その4

2004.10.13
ラハイナ・キミコ

No.1157

トイレを見つけ、並びます。2人しか並んでいないのにすごく時間を食ってしまいます。やはり皆、足が痛くてしゃがむのが大変なのでしょうか?

エイドが有っても、寄ることが出来なくなって来ました。一度足を止めると動かなくなるので、ゆっくりでも足を出した方がマシなのです。ボトルポーチに半分ほど飲料を入れていて助かりました。ヨロヨロとひたすら進みます。

民家の前を通り掛かると、イスを出して応援している方達がいます。名簿が配られているのでしょうか?歩いている私にも、名前を呼んで応援してくれます。笑顔で応えたいところですが、ひきつった顔で手を振るのが精一杯です。

そして念願の沈下橋にやって来ました。欄干の無い橋なので、ランナーがすれ違う時に落ちそうで怖いのでは?などと余計な心配をしていましたが、それどころか今いるランナーは2〜3人で、しかも私は歩いており、全くもってその心配は要りません。試しに橋の上から覗いて見ると、川の流れは速くてやっぱり怖かったです。

そして第二の難関が訪れます。150mのアップダウンです。最初の難関600mの1/4しか無いのに、既に限界の足には絶望的です。第2関門56.8キロ地点へもこの調子では間に合いません。無理やり小走りを試みます。そこへ前を行く2人組の会話が聞こえて来ました。「次の関門でリタイアしませんか?」もう1人も「私もどこでリタイアしようかと考えていたところなんです」どうやら知り合いではない模様。こうなったら関門まではなんとか辿り着きたいと思うのですが、「私も連れてって下さい」とは言い出せずじまい。

置いては行かれるものの、着地毎にうめき声を上げながら下って行くと、曲がった道の先に関門が...。「未だ間に合うぞ〜」と言う声も聞こえて来ます。やっとのことで関門に辿り着きますが、残りの時間は2分程。係の人が「頑張って下さい」と声を掛けてくれますが、「もう、歩くことも出来ません」と収容車へ向かいます。優しそうな小母さんが、こちらへ両手を差し出して近づいて来ました。慰めてくれるのかと思って抱き付きそうになったところ、「ごめんなさいね」と言ってゼッケンの端を千切って行きました。リタイアした証拠なのでしょうか?バスの中でも、アイシング用の氷や毛布を渡されながら、悔しさと痛さでいつまでもハンカチを目に当てていました。

私がウルトラに参加した理由の一つは、感動して泣きたいという気持ちからでした。初マラソンに出る前、マラソン関連の本を読んで(読むだけで)、何度泣きそうになったことか。完走したらこれは絶対泣くだろうと思っていたら、実際にはゴール後に家族を探すのに時間が掛かってしまって、それどころではありませんでした(感動しなかったという意味ではありません)。次の福知山は、息子がゴールの瞬間を見てくれましたが、今年の荒川は、またもや見逃されています。ゴールに余計な事を考えているからか、純粋な喜びに浸れないのかも知れません。
その点この四万十川ウルトラは、昨年リタイアも経験し、完走したい気持ちも、より強いです(さすがにもう、簡単に出来るものとは思っていませんが)。一人で参加することで気持ちも集中しています。

今度の第10回大会では(出来れば完走したいですが、そうでなくても)、自分に納得のいく走りが出来れば...、今まで以上の深い感動に浸ることが出来ると思っています。

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半家の沈下橋から川の流れを覗く。結構急流です。


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あこがれの沈下橋。何ヶ所もあるそうですが、この橋しかお目にかかれませんでした。


更新:2004.10.13
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