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第23回 いぶすき菜の花マラソン(後編)

2004.2.10
コツコツランナー

No.1100

女性にエアーサロンパスを塗ってもらっている時『○○さん(私)』と声がする。ビックリして振り向くとハーフを過ぎた辺りで追い越してきたK氏だ!!
思わずK氏の背中に向かって叫ぶ。『もう無理です!!足が動かない!!!』振り向いたK氏は腕を振り上げ叫び返す。『後は気力だよ!気力!気力!!!』『・・・。』だよね。みんなキット足が痛くなったりしてるんだよね。サロンパスを念入りに塗ってくれた女性にお礼を言い、また走り始める。でもやっぱり痛いんだってば!時計を見る。そうとう壊れていたらしく、『もう5時間になってしまう。』と思い込む。実際は4時間前。1時間見間違えている。『何が4時間半だ!もう5時間なんだからゴールは6時間になるじゃないか!去年と一緒だ!去年より良いペースで来ていると思っていたのに!歩かないよう頑張ったのに!豚汁もお汁粉も飲まなかったのに!』
目の前に長い長い上り坂が見える。去年苦しんだ35km地点からの長〜い上り坂。今年は、この坂を走って上る事を一つの課題にして練習もしてきた。その坂道がず〜っと先まで続いている。その坂を前にかなりダメージを受けている私の気持ちが怯む。怖い。今まで菜の花を走った事のある人と話をするとだいたいこの坂の話が出る。『山川駅の35km地点からの上り坂クルよね。』
今年はやっぱダメかも。歩いちゃうかも。だって去年とタイムも殆ど変わらないし・・・

35km地点★4時間02分46秒
道は上りに入り、35km地点に差し掛かる。
35km地点にスタッフのおじさんが首からストップウォッチをさげて立ってらっしゃる。思わず『すみません!今、タイムどのくらいですか?』『!4時間2分4○秒!』『えっ!?』腕時計を見ると【4:02:46】の表示。
まだ4時間だったんだ!!!
思わず口にだしてつぶやく『まだ行ける!まだ行ける!』そうだ。まだ行ける。あと7.195km4時間半は切れなくても、できるだけ4時間半に近づこう。
課題の山川駅からの上りもグイグイ上る。まだ行ける。まだ行ける。もう止まる気持ちなんかさらさらない。ペースも少し上がる。まだ行ける。まだ行ける。
去年泣きそうになった35kmからの上りを駆け上った。やった!上れた!まだ行けるぞ!スタッフのおじさんが選手に声を掛ける『後は下りだけだよ!頑張れ!』あと5km。
途中目の前で遮断機が下りる。5時間がギリギリの集団。『あぁぁ〜・・・』周りから何ともいえない声が上がる。
ヤキモキしていた選手達は遮断機が上がりだしたとたん一斉に走り出す。
去年とはまるで違う。去年はこの辺りを走る時は、交通規制も解かれ、みんな歩道を走らなければならなかった。
しかし、今回は違う。規制も解かれていない。みんなまだ道路を走っている。ゴールに向かい、懸命に走っている。去年、周りの人たちは殆ど歩いていた。私も、殆ど歩いた。走れば6時間切れると分かっていても走れなかった。50m走り、50m歩く、そしてまた歯を食いしばり走り、走れなくなって歩く。の繰り返し。
でも5時間を切ろうとしている集団は雰囲気からして違う。皆真っ直ぐ前だけを見て、顔を上げ、もくもくと走っている。歩いている人は殆どいない。ペースも上がっている。たまに『5時間切るよ。ここまで来たんだから。諦めるな。』と励ましあっている人達がいる。5時間切ろう。諦めなければ間に合う。周りの流れに乗れば、キット間に合う。私も周りの方たちと同じように顔を上げ、真っ直ぐ前を見て走る。スピードこそ出ないが、足の痛みなんか全然感じなくなっている。給水所も素通り。あと5km弱。給水時間がもったいない。
前に見覚えのある背中が・・・K氏だ。
追いついた。しかし、声もでない。いっぱいいっぱいで、声を掛ける事が億劫。それに私が追い越せばキット彼は抜かれまいとペースを上げるだろう。そうなったらかなり苦しい。すでに限界で走っている。チョット考えたが、声を掛けず素通り。

40km地点★4時間39分45秒
あと2.195kmいつも練習で軽く走れる距離じゃないか!自分を励ます。『5時間。5時間。』周りの熱気を感じる。皆が【サブ5】に向かって最後の力を振り絞って走る。
【あと2km】の表示。あと2km。2kmってこんなに長かったっけ?
あと1kmの表示が見えてくる。
『!!!』K氏。1km手前、K氏が無言で抜き去る。
あと1kmある。500mならともかく、これ以上のペースアップは1kmはもたない。とりあえずサブ5を目指そう。
【あと1km】50m程先を走っているK氏が振り返り目が合う。私の事がやはり気になるのだろう。
競技場からアナウンスの声が聞こえる。帰ってきた。あと少し。競技場の周りの沿道を回り、トラックに入る。ペースは上げられない。ペースを保ちゴール!!

ゴール★4時間54分22秒
4時間半が切れなかった悔しさなんか全然湧かない。(かすりもしてないからだけど・・・)なんとか5時間切れた喜びの方が大きかった。数分前にゴールしていたK氏の元へ。
『汚いよね〜何も言わずに抜くんだから・・・』『へへへ。』お互いの健闘を称えあう。
『私、来年はずぇ〜ったい4時間40分(走ってみて微妙な目標タイムに変更になった。やっぱり欲を出していきなりタイムを縮めちゃあいけない。コツコツ確実に)切ります!!!』『かんべんしてよ〜ホッとしたところだったのに〜。』来年はやりますわよっ!

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コツコツランナーズ全員無事完走後の集合写真。


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完走証。


更新:2004.2.10
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